ガンダムのストーリーを再構築した傑作

子供のころテレビで夢中になった機動戦士ガンダムを、安彦良和が再び描いたもの。

原案は矢立肇・富野由悠季でメカニックデザインは大河原邦男というもとものとスタッフが再集結しているので、当時のファンも大満足の仕上がりとなっているのが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。ガンダムファン、ないしガンダムオタクが愛してやまないTVアニメ版がベースとなっているものの、映画版でなかったルナツー攻防戦やセント・アンジェのエピソードなどもしっかりと描かれているのがたまらないのです。

それ以上にファンやオタクでいつも議論となっていた不自然であったり辻褄が合わず強引になっているストーリーについて、新しいキャラクターが登場したり、すでに登場していたキャラクターの設定が見直されることで、機動戦士ガンダムの壮大なストーリーが一つのものとして完結しているのです。これによって長年の謎や不明点、そしてファンの間でも疑問視されていたところがすっきりと整理されたのです。もちろん新たな議論も生まれることとなったのですが、総じてファンの間でもかなり評価が高く好評であったために完結後にアニメ化が決定した作品でもあります。そういった背景もありますが、なんといっても安彦良和さんのイラストが味があるのです。メカニックのアニメだったガンダムの、人間性があふれるそのイラストには深みがあって、読みやすい。

そしてそのストーリーはアニメともひと味もふた味もあるアレンジがされているので、アニメオタクであっても新しい展開が楽しいし、逆にテレビで登場してきたおなじみのシーンは、うまく再現されていて感動できるのです。そして最大の見せ場はシャアの、シャアになるストーリー。こちらは完全にアニメにはないオリジナルの部分ですが、シャアだけでなく一年戦争になったその時代背景と、モビルスーツが開発された流れも説明されており、連邦、ジオンそれぞれのストーリーが深く表現されています。この部分だけでも読み応えがあるし、正直いつ本編に戻るのかどうか心配になったほどです。こうして再び私たちの前に再び登場してくれたガンダムに感謝しながら、懐かしくも新しいガンダムを楽しむことができる作品です。